アウシュビッツ開放60周年

 世界にはこの名前を知らない人が数多くいるという。日本人であるわたしたちもそうかもしれない。厳冬の中、開かれたというこの式典に1000人の生存者の方々も出席されたと聞く。
 彼らは、過去とどういうふうに向き合って生き抜いてきたかと考えると、心が痛くなる。戦争で戦友を亡くしたご年配の方々も同様だと思うが、一つだけ違うのは、やはり虐殺というすさまじい現実がそこにあったということだ。
 歴史は、教科書に書いてあるほど綺麗事ではない。戦争もしかり。英雄だけがとりざたされても、歴史には殺戮はつきものだったはずだ。
 歴史は・・・・結局いきつくところ、たった一人の人間の意志のみで決まるという。たった一人の人間のために数知れない命がなくなっていったことを考えると、どこぞやに国で争っているもめごとも、たいした差はないと思う。
 生き地獄の中でなぜ自分たちが生きることを許されなかったのだろうかと問う余裕もなく死んでいった人たちは、もう一度生まれ変わることができたであろうか。