東大出版会「UP2009年11月号

こちらも久々にアップしよう。今回なかなか読み応えあるような感じがしました。
この東京大学出版会の『UP』University Press の略ですが、ひょんなことから購読を開始してはや一年をすぎました。
一冊105円、年間購読にすると1000円(笑)なんですよ。ほんとこんなに安い月刊小雑誌(教科書サイズ)70ページもないものですが、さまざまな分野の方々の小論やエッセイ、マンガなどが掲載されており、とても興味深い一冊です。

こんなに安いのに、知がつまっているものをみすみす逃すものか!(笑)

毎月5日あたりのポストをみるのが大変楽しみです。

さて、引っかかった内容というと・・・

・こう使ってほしい『東大英単』 能登路雅子(東大大学院教授/アメリカ地域文化研究)
・動物は「物」なのか? 青木人志(一橋大学大学院教授/比較法学)
・ご神体だったアンモナイト 矢島道子(東京医科歯科大学非常勤講師/古生物学)
・近代日本と赤十字 黒沢文貴(東京女子大学教授/日本近代史)

・航空の100年23 コンコルドの誤算 鈴木真二(東京大学大学院教授/航空宇宙工学)
道教の美術展をめぐって 齋籐龍一(大阪市立美術館学芸員/中国仏教美術史)

さて、上記はその一部ですが、これだけわたしの興味をそそりました。
能登路(のとじ)先生は、この本の編集チームの一員でがんばってこられておりその経緯などを紹介された。この本かなり売れているんですよ。東大生の英語教科書から280語程度の単語をひっぱりだし、さまざまな分野の例文をつくりそのなかでこの280語をたくみに紹介してあるものです。売れている年代層は、どうやら学生よりも意に反して30代から50代におよぶという。仕事で海外経験をつんだ方々や、現在海外にいらっしゃる方々などが購入層だという。

青木先生の動物は物なのか・・はたいへん興味ぶかくよませてもらいました。特にここでいう物はモノではなく、法律用語的に「ブツ」というのだそうだ。動物虐待は器物損壊の疑いとされますよね。動物と一緒にくらしていないくても、一般人は、動物はモノかと考えがちですが、法学的には、モノではなくブツと称するのだそうな。ブツという意味合いについて書かれており、ここまで説明してもらえれば、確かに器物損壊にした方が法律的には罪が重く納得がいく。特に以前の動物虐待罪の軽さからすると。

以前の動物虐待罪は3万円以下の罰金程度、その当時の器物損壊では三年以下の懲役。どう考えても大切な動物の命を3万程度でかたづけられるのもいかがなものか、という点なども考えるともっと刑を重くするには、モノ扱いとして取り扱った器物損壊にした方が近道であったという。これは逆説的ですが。ここの中で説明されていたのが、「財物性」という言葉。財産としての価値、効用という動物の性質の一部を取り上げられていた。虐待によりこの財物性が奪い去られるという側面をとらえて、器物損壊罪を適用したまでのことらしい。ここで重要だとおもうは、自分が飼っている動物を虐待した場合だ。それは器物損壊にはらならいということだ。器物損壊は他人の財産を損壊すること、よって自分の動物の虐待は、動物虐待罪にしかならない。こうなると、同じ生き物の命に上下があるのかと疑ってしまう。
 だか法律もかわっていってますね。以前の動物虐待罪は、新法では(1)動物殺傷罪と(2)動物虐待罪にわけられています。(1)の上限は懲役一年、(2)の上限は罰金50万円になっております。
 近年、私を含め動物との生活にその「財物性」を感じ取りながら生活することが多くなったと思いますが、こういう視点で物事を考えてみるとどの命も大切だ。ましてやその財物性をもつペットを、なぜに簡単に人間の身勝手で捨てていくのかという疑問点もでてきますが・・・。

長くなりました(笑)
次は、アンモナイトの話。ご神体とされていたアンモナイトの化石(菊面石)が学術的にすごいものだったらしく、それを東京大学の地質学の教授であった小林氏がどうしても寄贈してもらいたくて奔走した経緯がかかれており、大変興味深かった。

赤十字は150年目だそうです。アンリ・デュランの名前と、ソルフェリーノの戦い程度はしっておくべし。しかし、人間は古代からずーーーっと、土地と食べ物の奪い合いのための戦争ばかりしてきているんですよね。なんで懲りないのかしら(笑)

フランスのコンコルド、すでにもうありませんが、スミソニアン美術館でみれるそうです(^^ なぜにコンコルドは駄目になったのかのお話。

道教の美術展、東京、大阪、長崎と三都市をまわっているらしく、のこりは長崎となったらしい。うーん残念。今年は美術展ほとんどいっていないというか情報をのがしっぱなしである。東京ではどうやら三井記念美術館でやっていたらしい。ってそれどこにあるっけ?(笑)行ったことがない。嗚呼残念。無駄に読んだのがいけなかった、無性にいきたくなってしまう。残りは長崎来年1/23かららしい。なぜにいきたいか。意外に道教といわれてもなにがでてくるのかが興味津々。そもそも道教ってなによ?とわかっているようで実はあまり理解できていない自分である。陰陽道禅宗と日本ではつながっていくので以外にしってることも多いと感じた。

ここまで書いて疲れた(笑)いやいやまだまだ楽しい11月号である。
締めは、山口晃氏の漫画である。なんとも絵のタッチがすごく好きです(笑)ちなみに、「すずしろ」刊行記念で、12/19に紀伊國屋書店サザンセミナーでトークライブがあるらしい。きゃぁぁぁいってみたいがその日は予定あり(T_T) 興味あるかたはどうぞ。