立花隆氏NHKスペシャル

 月曜日の夜のNHKスペシャルで、見られた方も多かったかとおもいます。立花氏をはじめ、筑紫哲也氏、鳥越俊太郎氏などジャーナリストのかたがたがことごとくがんにかかっておられます。3人に1人ががんにかかるといわれる時代に、人間は結局死ぬのだから・・と刹那的に安易になるのはよろしくないと私は思います。
 立花氏が言いたかったのは、がんが完治されるものではないとわかりつつも治療薬の開発を進めている世界で、反面、毎年多くの人が亡くなるという現実にどう人間は対応しなければならないかという点で、生きているうちに考えるべきことは多くあるのではないかということだと感じます。
人間の死亡率は100%であり、先の言葉ではないが、結局いつかは死ぬんです。でもそれが今か明日かはわからない。原因は、がんでなくても、他の病気や事故、あるいはなにかしらの事件にまきこまれて死亡するケースも考えられます。がん=死ではない時代ですが、生きている今のうちに、やるべきこと、かんがえるべきことをきちんと把握しておくことが重要です。心構えやがんになったときどうするか、自分の気持ちを家族に知らしめておくことが大切だと。
 鳥取野の花診療所の徳永医師の説明もありましたが、緩和ケアにおいても死に向き合う姿勢というものがその人の人間性をすべてでてきます。
人は生きてきたように死ぬんです。
だからこそ、がんだけでなく、まずは病気に向き合いながら生きるということをうけいれることが大切であり、受け入れるためには、元気な時からさまざまなことを考えておかねばなりません。
 死ぬ瞬間まで人間は生きているんです。
という立花氏の言葉は、そのままですよね。情報がどんなところでもとれる世の中に生きている私たちは、もっとそれを利用しなければ損だとおもいます。必要な情報がない時代、不安の中がんにかかって死んでいった多くの人たちを考えると、現代にいきる私たちは、きちんと向き合う姿勢がとれるはずです。がんで死を迎えること以上に、どう生きるかを真剣に考えるべきです。それは、自分だけでなく、家族への責任と私はおもっています。
 亡き母は、がんになっても病院のデスクで仕事をしている人でした。そうすることで元気に毎日を過ごす術を持っている人でした。ですが、がんで死ぬということにおいては、家族の中で何も話合う機会さえありませんでした。本当にそれが、母にとってよかったのか否か。
 そんなに長生きしなくていいわぁ私は。
と言っていた通りの人生だったかもしれませんが、やはり残されたものの気持ちはいつまでも後悔が残っています。家族できちんと向き合うことが、もしがんになったときにできる一番最初の安心感につながると思います。
ちなみに、緩和ケアで在宅療法を進んでやっていらっしゃる医師の方は、全国的にみてもそう多くはありません。『病院で死ぬということ』の著者である山崎先生の話でもそうですが、地域で支えあう医療とは、本当の意味でなんであるか、そういう点でも考えさせられた番組ではなかったかと思います。